2015年4月4日土曜日

「怒り」との関わり NO.3

金子書房から「児童心理」という本が毎月出ています。2014年11月号の特集が「子どもの怒り」というテーマでした。二つ目の論文に、大分大学の麻生良太准教授が書かれた「感情はどのように発達するのか」というのがあります。ここで述べられている発達段階と「感情」の発達について紹介します。


基本的感情から社会的感情まで
《おおよそ生後6ヶ月から1年》
基本的な感情(よろこび・驚き・悲しみ・嫌悪・恐れ)が見られる。
基本的な感情の表出は、養育者へのシグナルとしての機能があり、養育者がこのシグナルに適切に応答することが子どもと養育者との愛着といった情緒的な結びつきの形成につながり、幼児期以降の社会的適応へと導かれる。
《1歳半すぎ》
「てれ・羨望・共感」の感情が見られる。
自己意識の発達、特に見られる自分を意識することと関係している。
《2歳から3歳》「誇り・恥・罪」の感情が見られる。できる自分を誇りに思い自信をつける一方、できない自分を恥じて自信をなくすことも起こる。自己の感情についての認識の発達《2歳から3歳》自分の感情状態について自発的にしゃべることができる。他者の感情についての認識の発達《生まれたばかりの乳児》他の乳児につられて泣き出す「情動伝染」という現象《1歳ごろ》他者が表出する感情の意味を認識し、それを手がかりに自分の行動を決定する。《2歳から3歳》「よろこび・悲しみ・怒り」の基本的感情の表情であれば、2歳児の半数以上が適切な感情語をラベリングすることができる。《3歳》外的状況を踏まえて他者がどのような感情を生じるかについて認識することができる。他者が生じる感情と表情または外的状況の間に共通の因果関係が成り立つことを、「まもるべき・推奨するルール」として幼児期の子どもに教えることが求められる。感情についての認識《幼児期後期から児童期》・誰しもが同じ感情を生じるわけではない。なぜなら、その外的状況に対して友達は自分とは異なる好み・意図・欲求・信念をもっているから。・より個人的な情報(恥ずかしがりなどの内的特性やその人の過去の経験など)が、人が生じる感情に関係する。

《感情コンピテンスの発達》
人とのやりとりの中で、自分の感情が他者にどのような影響を与えるか学習する。その経験の積み重ねによって、自分や他者の感情をコントロールする仕方や感情の状態を理解する能力などの知識やスキルを蓄積していく。この知識やスキルを「感情コンピテンス」という。(具体的には、8つのスキルが紹介してあります。)

最後に「感情の発達の問題」として、次のようにまとめてあります。
「自分自身が生じる感情をどのように自覚的に認識するか、自分とは異なる他者が消じる感情をどのように認識するのか、そしてそれらの認識をスキルとして適用してどのように人間関係を築き維持するのか。総合的に考えていくことが感情の発達において重要なのである。

参考文献・引用文献
「児童心理」2014年11月号 金子書房 
 「感情はどのように発達するか」麻生良太(大分大学准教授)






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