2014年12月31日水曜日

ありがとうございました

今年(2014年)も残すところ、2時間を切りました。

今年は私たちの研究会にとって、大きな一歩を踏み出した年でした。
成果を述べてみたいと思います。
 ① 6月からの月1回の実施
 ② 公益財団法人日本教育公務員弘済会宮崎支部様からのグループ研修助成金交付
 ③ 講演会の開催
 ④ 宮崎市内の小中学校への講演会案内の送付
 ⑤ ブログ開始
毎回、それぞれの先生が子どもへの指導や家族支援に関する悩みを語りました。これまでに出会った子どものことや、前日(金曜日)に起きた事例への対応策など様々な内容について語り合い、学び合うことができました。
グループ研修助成金を頂いたことで、講演会を開催することができました。講演会を開催することで、宮崎市教育委員会様より名義後援を頂き、宮崎市内の全小中学校に講演会の案内を行うことができました。講演会の開催を通して、この研究会を多くの方に知って頂くことができました。
最後に、ブログを始めたことは、研究会にとっても、私にとっても初めてのことでした。ブログを通して、講演会や学習会の細かな案内をすることができました。

この1年、多くの方にお世話になりました。ありがとうございました。

2015年も月1回の実施を目指します。1月の研究会は、17日にゲストを招いて行います。宮崎県内の教職員、SSWの方でしたらどなたでも参加可能です。気軽に参加してください。いつでもお待ちしております。(子どもの指導や家族支援等で困ったときや相談したいとき、話を聞いてほしいと思ったときだけの参加でも歓迎です。)

来年も、皆様にとって幸せな1年になりますように。




講演会の感想 と 第2弾 不登校ゼロの達成(明治図書2006年3月初版・2007年3月再版)

講演会の感想を紹介します。

「SSWに強い興味があり、ご縁があり本日参加させていただきました。うなづく場面がたくさんあり、子育て経験と、九州保健福祉大学での心理と社会福祉士の通信課程が終わったところで、これから自分に何ができるかと考えていたところでした。広い視野や資質も必要だと思いますので、これからも自分の子育てを通して実生活に生かしていきたいと思いました。ありがとうございました。」

「不登校の子どもへの対応について今まで不勉強でした。今回初めて参加させて頂いてとても勉強になりました。」いい機会を与えてくださいまして感謝しています。是非、学校に持ち帰り、動いてみようと思います。」

「カウンセリングは内省を促すもの」という言葉が響きました。(後略)

不登校ゼロの達成(明治図書2006年3月初版・2007年3月再版)の第Ⅳ章では、再登校成功、不登校ゼロといった成果から導き出された方法論として「不登校ゼロのための8か条」がまとめられています。
あとがきでは、現在、結果として不登校ゼロといった実際に成果を上げているのは、6段階を踏みながらその子どもを「育む」ことを基本とした支援であると書かれています。最後に、不登校児への対応に必要なこととして、次の文を紹介して、第2弾を終了したいと思います。
「それは、子どもが夢をもちいろいろなことに正面から向かっていけるようにいろいろなことを身につけること、育むことであると思います。」

2014年12月25日木曜日

講演会の感想 と 第2弾 不登校ゼロの達成(明治図書2006年3月初版・2007年3月再版)

講演会の感想を紹介します。

「(略)欠席時の対応マニュアルもとても参考になりました。次年度の提案で頑張って声をあげたいです。」

「(略)アセスメント、一人一人を分析して適切なプログラムを立てること、学校全体で取り組むことが大切だと思いました。」

「(略)『寄り添うだけではなく行動でも』という話があったが、まさにその面が学校で不足している部分だと思う。自分は特別支援教育コーディネーターをしているが、応用行動分析という理論がバックにあると、先生や保護者、子どもたちとも、話がしやすいだろうと思う。」


「(略)思うことがいっぱいでなかなか言葉になりませんが、貴重ないい充実した時間となり、自分へのいいエネルギーになりました。ありがとうございました。」

小野先生の著書である「不登校ゼロの達成」(明治図書2006年3月初版・2007年3月再版)の第Ⅲ章「不登校の解決事例の実際」では、個別再登校支援計画を適用した実際の不登校解決事例が述べられています。事例は次の4つです。
 1 要求語が言えないことが原因の事例(小3男子)
   「回避」を「育む」に転換した再登校支援
 2 いじめにより神経症症状を起こした事例(中3女子) 
   特別扱いをしない再登校支援
 3 学習の遅れが原因の事例(小6男子)
   教育支援センターとの連携による再登校支援
 4 喘息から生じた怠学傾向のある事例(中1男子)
   学級担任主体の継続登校支援

 どの事例でも、様々なデータと詳細な記述で、教師としてどのように関わればよいかが分かりやすく書かれています。




2014年12月23日火曜日

講演会の感想 と 第2弾 不登校ゼロの達成(明治図書2006年3月初版・2007年3月再版)

講演会の感想の一部を紹介します。

「小野先生の講義は数回聞きましたが、結果を出せる実践なので、とても興味をもっています。専科を担当していろいろな子どもさんとふれ合う中で、これまでの経験だけでは授業への集中や学力保障が難しくなる傾向の現状を日々感じています。データの取り込みや、明確に分かりやすい分析の仕方など勉強になりました。(略)客観的な調査・分析によって、対応の仕方が分かり、今後の実践につなげていきたいです。」

「不登校の子どもの学習面だけでなく、体力面も注目しなければならないこと、また、家庭内での関わり方を変え、回避行動を容認しない、不安を低いところから段階を踏んで経験していくことによって、子どもが自己適用でき、自分自身のセルフコントロールができるようになるというのが分かりました。ソーシャルワークの勉強中ですが、このような先生のお話をお聞きすることができ、今後の学習や実践に活かしたいと思います。」

小野先生の著書紹介第2弾では、不登校ゼロの達成(明治図書2006年3月初版・2007年3月再版)を紹介します。
本書は、
第 Ⅰ章  不登校ゼロの達成と維持
第Ⅱ章 不登校の個別支援計画の進め方
第Ⅲ章   不登校の解決事例の実際
第Ⅳ章   不登校ゼロのための8か条 
の4つの章からできています。

第Ⅰ章では、第1弾で紹介したA町での不登校減少プロジェクトの説明や経過、その後の結果が書かれています。第2章では、不登校の支援計画の必要性、支援計画のつくり方と進め方ということで、「6つのステップ」が書かれています。6つのステップとは、
ステップ1:再登校支援体制確立会議—保護者の明確な依頼を受けて教師は動きましょう
ステップ2:個別支援計画決定会議—その子にあった再登校計画を立てよう
ステップ3:再登校個別支援計画実施状況点検会議
ステップ4:再登校予定日事前会議
ステップ5:再登校状況点検会議
ステップ6:計画的介入終結会議 のことを指します。

詳しいことは、本書を読んでください。ステップ2の「再登校準備段階評価表」は、「通所状況」「計画作成状況」「学習達成状況」「社会的スキル」「身体的状況」等、10の領域が3段階に分類されており、準備段階の把握や評価にとても活かせると思います。

今日はここまでです。

2014年12月20日土曜日

講演会、大成功!ありがとうございました

記念すべき10回目の学習会が大成功に終わりました。
冬雨の中でしたが、約20名の方に参加していただきました。
講師の小野先生をはじめ、小野先生のご支援を受け、再登校を支援したお母様、特別支援教育コーディネーター及び補助指導員の先生、ありがとうございました。アットホームな雰囲気で、しかもとても充実した学習会になりました。

参加者からの感想も一部、紹介させていただきます。会の様子や参加された方の思いを少しでも伝えられればと思います。


「とても楽しく、勉強になった時間でした。教科指導で使える内容もあり、児童への接し方を見直すことができました。怠学との違いや私自身の判断レベルの低さ等、本当に勉強になり、これから即活用していきたいと思いました。」


「小野先生の講義は、実践に基づいたもので説得力があり、納得させられることが多く、自分の考え方を改めて見直す機会となりました。アセスメントをしっかりと整理し、実態を見極める力なくしては、最終的に保護者や子どもの行動に変化を与えることができない。『10step実践サイト』は、購入して明日からの実践につなげたいです。有意義な会にさんかできたことを改めて感謝致します。」


まだまだありますが、今日はここまでです。残りの感想後日紹介します。



本日、9時40分からです。

私たちの研究会は今日が10回目です。今年度は、月1回行っています。
いつもは5〜6人で情報交換や事例検討等を中心に行っています。

記念すべき今回は、講演会を企画しました。
講師の小野先生から講演会資料が届き、参加者数(約30名)分の印刷を行いました。
印刷しながら資料の内容を読ませていただきました。

欠席児童・生徒への対応として、どの学校でも使える(使う必要のある)資料が多くあり、直接話を聞くのがとても楽しみです。

今回、宮崎市教育委員会様より名義後援を頂いたことで市内全小中学校に案内を出させて頂きました。「職員会で紹介されたよ」等の話を聞き、とてもありがたいことだと思いました。

研究会に参加されている方が、それぞれの場所で、いろいろな方に声をかけて頂きました。申込のメールに「○○先生から紹介されました」とあり、またまた嬉しくなりました。

今回の講演会は、公益財団法人日本教育公務員弘済会宮崎支部様からのグループ研修助成金を使わせて頂いています。とてもありがたいことだと思っています。

皆様のご厚意で作られた講演会、とても楽しみです。

後援会の様子や感想等は今後ブログで紹介します。



2014年12月16日火曜日

第1弾「教師のための不登校サポートマニュアル 不登校ゼロへの挑戦」(明治図書2005年3月初版)

第1弾は今日で終わりです。
今回は「Ⅳ 不登校問題解決に向けて」を紹介します。

Ⅳ章では、不登校問題解決のための、教育委員会、学校管理職、教師、養護教諭のさまざまなレベルでのシステムが提案されています。

教育委員会の役割の中で、「再登校支援成功教師と他校教師との学び合い・情報交換のためのネットワークづくりの支援をする」ことが望ましいとありました。
私たちの「みやざき子ども支援研究会」も、草の根レベルでの「学び合い・情報交換のためのネットワーク」であり続けたいと思いました。

2014年12月15日月曜日

第1弾「教師のための不登校サポートマニュアル 不登校ゼロへの挑戦」(明治図書2005年3月初版)

「Ⅱ 熊谷市での不登校半減への取り組み」は省略します。

「Ⅲ A町での不登校減少プロジェクト—発生率ワーストワンから不登校ゼロへの軌跡」では、A市での不登校減少プロジェクト開始の経緯と趣旨、取り組み、途中結果とそれまでの経過、そして最後に、なぜA市は一年足らずで不登校ゼロとなったか、について書かれています。A市というのは、ある県のほぼ中央部に位置し、のどかな田園風景が広がる人口約9000人で、1中学校、4小学校があるところです。
 このプロジェクトは、平成15年度・16年度の2カ年で行われ、筆者の小野昌彦先生は平成15年4月から16年9月末日まで顧問スーパーバイザーとして参加されています。

 「2 不登校減少プロジェクトの取り組みについて」では、個別教育プログラム(IEP)を用いての再登校支援について書かれています。IEPとは、小野昌彦先生らが筑波大学心身障害学系小林重雄研究室において1989年から開発を進められているものです。

子どもの支援のためにも、IEPについてしっかり学びたいと思います。



2014年12月14日日曜日

第1弾「教師のための不登校サポートマニュアル 不登校ゼロへの挑戦」(明治図書2005年3月初版)

「早期発見・早期対応」等、子どもへの対応について紹介したいと思います。

 不登校問題の予防には、2つの段階があり、一次予防と二次予防と呼ばれ、一次予防は問題を起きにくくする段階、二次予防は早期発見・早期対応であるとあります。
 早期発見・早期対応の実際として、見出しを紹介します。
 1 欠席に敏感に動く
 2 ストレス反応への気づきと対応
 (1)ストレス反応に気づく
 (2)身体症状
 (3)不安・緊張
 (4)攻撃・怒り
 (5)無気力・憂鬱—褒める機会をつくる
 3 ストレスの元にはたらきかけ、味方を増やす
 (1)ストレスの元にはたらきかける
 (2)子どもに「味方」と思ってもらえる教師になる
 (3)すべての子どもをえこひいきする
 (4)子どもを支える人を増やす

登校を渋っている子どもの自宅へ迎えに行ったときや、学校の教育相談室等で子どもと話をするときに行う子どもへの言葉かけ等、どのように関わればいいのか悩みますが、上記で紹介した内容からヒントをもらえると思います。

2014年12月11日木曜日

第1弾「教師のための不登校サポートマニュアル 不登校ゼロへの挑戦」(明治図書2005年3月初版)

私の手元に小野昌彦先生が書かれた本が3冊あります。
「教師のための不登校サポートマニュアル 不登校ゼロへの挑戦」
                   (明治図書2005年3月初版)
「不登校ゼロの達成」(明治図書2006年3月初版)
「学校・教師のための不登校支援ツール〜不登校ゼロを目指す包括支援ガイド」(風間書房2013年4月30日初版)
の3冊です。
第1弾は、小野昌彦先生と小林正幸先生が書かれた「教師のための不登校サポートマニュアル 不登校ゼロへの挑戦」という本の紹介をします。

この本は4つの章があり、Ⅰ・Ⅱ章を小林先生が、Ⅲ・Ⅳ章を小野先生が担当されています。Ⅰ章では「不登校についての基本的なとらえ方・考え方」、Ⅱ章では「熊谷市での不登校半減への取り組み」、Ⅲ章では「A市での不登校減少プロジェクト−発生率ワーストワンから不登校ゼロへの軌跡−」、Ⅳ章では「不登校問題解決に向けて」が書かれています。

Ⅰ章の「1 不登校はどのようにして起きるのか」は、「不登校問題解消の主人公としての教師」についてです。教師は、数多くの子どもと長い時間一緒にいて、向き合っている専門家であり、その専門家のプロ意識と力を信頼したい、と書かれています。さらに、「4 不登校になる子どもは、学校のどこが嫌いなのか」及び「5 内省力がない教師たち」では、「不登校体験者による不登校のきっかけ(現代教育研究会、2001)」と「教師による平成5年度中学生の不登校のきっかけ(文部省、1994)」の結果、特に「教師との関係をめぐる問題」の数値の違いが気になるとあります。前者が20.8%であるのに対して、後者は1.7%です。この違いから、教師は我が身が不登校のきっかけを作り出していることに、気づきにくいのかもしれません、とあります。私も教師として、このことを受け止めて、子どもたちとの関係を見直さなければならない、と考えます。
 
次回は、「早期発見・早期対応」等、子どもへの対応について紹介したいと思います。


2014年12月9日火曜日

20日は講演会です

これまで、「アタッチメント障がい」や「反応性愛着障がい」の状態や診断基準を書いてきました。この後は、対応について述べたいと思います。

その前に、次回から20日の講演会の講師をしていただく小野先生の書かれた著書等について紹介をしたいと思います。お楽しみに。

2014年12月5日金曜日

アタッチメントについて NO.8

反応性愛着障害というのは、アメリカ精神医学会が作っている精神疾患に関する診断基準(DSM)にあります。昨年5月、DSM−5が出版されました。19年ぶりの改訂だということです。以下に紹介します。

反応性愛着障害(DSM-5)
A. 5歳以前に始まり、著しく障害され発達的に不適切な愛着行動の様式で、慰安、援助、保護、愛情を求めて識別された愛着対象に、めったにあるいは最小限にしか選択的に注意を向けない。
以下の両方によって明らかにされるように、この障害は抑制され、情緒的に引きこもった持続的な行動様式で、子どもは大人の養育者に対しめったにあるいは最小限にしか愛着行動を向けない。
 1. 心理的苦痛を感じている時に、めったにあるいは最小限にしか慰安を求めない
 2. 心理的苦痛を感じている時に、めったにあるいは最小限にしか提供された慰安に反応しない。
B. 持続的な社交、情緒の障害で、以下の少なくとも2つによって特徴づけられる。
 1. 他者に対する社交的、情緒的な反応性の相対的な欠如
 2. 制限された陽性感情
 3. 威嚇的でない大人の養育者との交流の際も、説明の出来ない、苛立たしさ、悲しみ、または恐怖のエピソードがある
C. 自閉症スペクトラム障害の診断基準を満たさない。


このブログで紹介している反応性愛着障害については、「DSM−Ⅳ」に基づいて書いています。(WHOの診断基準、また、本ブログで参考にしている本がDSM−Ⅳのもとに作られているので。

2014年11月29日土曜日

アタッチメントについてNO.7

「反応性愛着障害」は、抑制型と脱抑制型に分類されている。抑制型とは、愛着障害による対人関係の不安定さが「要求できない」「依存できない」といった、内にこもる方向に発揮されている状態と考えることができる。脱抑制型とは、「誰に対しても無差別に愛着を示すかと思えば、一転して無関心になる」とか、「一度興奮し出すととめどなくなり、最後には一喝されないと収まらない」といった状態である。

2014年11月24日月曜日

アタッチメントについて NO.6

前回までに紹介したアタッチメント障がいは、精神医学的には「反応性愛着障害」というくくり方をされることが多くあります。「反応性」という言葉は、「発達障害や知的な遅れなどに起因するものではなく、養育の過程で形成されてきたものである」という意味になるそうです。

2014年11月20日木曜日

講演会のご案内

不登校の児童生徒への指導を含む、子ども支援や家族支援の方策についての講演会を行います。児童生徒への指導や関わり方で悩んでいる方及び関心のある方、行動療法を取り入れた指導に関心のある方など、みんなで学びたいと思います。
ぜひ、ご参加ください。詳細は以下の通りです。

日時:12月20日(土) AM9:20〜11:30 ※ 9:20開場
会場:宮崎市教育情報研修センター 中研修室
講師:小野昌彦先生(宮崎大学大学院教育学研究科教授)
対象:宮崎県内教職員及びSSW ※ 定員 50名(先着順)
参加費:無料

講師紹介:
長年不登校問題に取り組む。不登校に対する包括的支援アプローチを市町村単位に適用した応用研究や、教師が児童生徒に効果的に働きかけるための教師向けツールを開発。行動療法・応用行動分析が専門。




2014年11月19日水曜日

アタッチメントについて NO.5

前回の続きを紹介します。

⑤ 探索行動の難しさ
 ・見知らぬ状況に置かれたときに、養育者の様子をうかがうなど、自分
 の行動の手がかりを探すような行動がとれない
 ・養育者と離れることが難しいために、自分の置かれた環境の中にある
 おもちゃなどを確かめたり試したりする行動が制限されてしまう

⑥ コントロール行動(支配行動)
 ・養育者を過剰にしきりたがり、懲罰的に(攻撃的威圧的に)コントロ
 ールしようとする
 ・養育者に向けての過剰な気遣いや不適切な世話をする行動がある

⑦ 養育者との分離を経験した後、再会する場面での反応の不自然さ
 ・一度養育者から離れた後で再会したときに、スムースに愛着的なやり
 とりに戻ることができない
 ・再会したときに、無視や避けること、過剰な怒り、愛情の欠如などを
 示す

さらに、次のように書かれています。
  「養育者」という用語を「担任」あるいは「親しい(と思われる友
 人)」などに読み替えると、アタッチメント障がいが学校でどのような
 現れをしてくるのかイメージがもちやすくなると思われる。それは、
 「非常に不安定な対人関係のとり方」であり、「予測のしにくい気分や
 態度の変動」なのである。


参考・引用文献
玉井邦夫 著「学校現場で役立つ 子ども虐待対応の手引き」(明石書店)


2014年11月18日火曜日

アタッチメントについて NO.4

アタッチメント障がいが子どもの言動にどのように現れるか、玉井邦夫氏の「学校現場で役立つ 子ども虐待対応の手引き」(p135〜137)には次のように書かれています。

① 愛情の表現方法のおかしさ
 ・温かく情愛に満ちた相互関係をとることができない
 ・見知らぬ大人との関係でもみさかいなく愛嬌をふりまく
② 心地よさを素直に追求することの困難さ
 ・打ちのめされたり、傷ついたり、病気になったりしたときに、素直に
 心地よさを追求することができない
 ・奇妙で両価的な方法(ひねくれた物言いや、親和性と恐怖が混在する
 ような態度など)で心地よさを追求するようにふるまう
③ 援助への信頼感の歪み
 ・極度な依存を示す
 ・必要なときにサポートのために愛着の対象を求めたり利用したりする
 ことができない
④ 協働活動のおかしさ
 ・養育者の要求に対する素直さが見られない
 ・過剰な要求をしてくる
 ・強迫的な従順を示す

残りの3点は、次回紹介します。

参考・引用文献
玉井邦夫 著「学校現場で役立つ 子ども虐待対応の手引き」(明石書店)

2014年11月17日月曜日

アタッチメント N0.3

今日は、アタッチメント障がいについて書きます。

玉井邦夫氏の「学校現場で役立つ 子ども虐待対応の手引き」(p135)に虐待を受けたことによる子どもの言動を理解するうえで重要な概念として、アタッチメント障がいについておおよそ次のように書かれています。本書では「愛着」・「愛着障害」と表記されていますが、ここでは「アタッチメント」・「アタッチメント障がい」と記します。

アタッチメントは、概ね、生後3〜4年の間にその基盤が形成されると考えられている。健康的なアタッチメントが形成されることは、「自分は価値ある存在であり、世界は交渉にたる環境である」という感覚を子どもに与えることになる。特定の養育者との間に確固たるアタッチメントを形成できた子どもは、長じて、健康的な自尊感情を発達させ、友人との友好的な関係を結び、ものごとを肯定的にとらえていく認知を獲得することができる。

「アタッチメント障がい」とは、この裏返しであると理解できます。

次回は、アタッチメント障がいの現れを概観することにします。

参考・引用文献
玉井邦夫 著「学校現場で役立つ 子ども虐待対応の手引き」(明石書店)







2014年11月14日金曜日

アタッチメントについて NO.2

アタッチメントという概念は、ボウルビィらによって確立されました。
ボウルビィという人は、1907年にイギリスで生まれました。精神科医及び精神分析家で、いろいろな家庭経験が、子どもの発達に及ぼす影響について関心があり、研究を行いました。

アタッチメントの定義は、「危機的な状況に際して、あるいは潜在的な危機に備えて、特定の対象との近接を求め、またこれを維持しようとする個体の傾性」であると前回書きました。言い換えれば「不安や恐怖という負の(不快な)情動が重要な他者に接近することによって中和化されるか、正の(快の)情動へと変化していくこと」であります。「人と人の情緒的絆」や「愛情関係」のことではありません。誤解を生みやすいので、「愛着」ではなく、ここでは「アタッチメント」を用います。

虐待を受けた子どもの言動を理解するうえで重要な概念に「アタッチメント障がい」があります。「愛着障がい」とも言いますが、上記の理由で、ここでは、「アタッチメント障がい」という言葉を使います。

次号は「アタッチメント障がい」について書きたいと思います。

参考文献及び引用文献
 ボウルビイ     「母子関係入門」
 小林隆児 遠藤利彦  編『甘え』とアタッチメント
 玉井邦夫      「学校現場で役立つ 子ども虐待対応の手引き」


2014年11月12日水曜日

アタッチメントについて NO.1

今回から、私の専門外のことも書いてみたいと思います。子どもや家庭の支援を行うときに必要な知識や考え方であると思われるからです。
しかし、私(本ブログの管理者)は専門家ではありませんので、間違ったことを書いている可能性もあります。内容等に関しては、当方、責任は持てませんので、ご了承ください。間違い等がある場合はご指摘ください。

「発達障がい」という言葉は、今や、多くの人に理解され、使われています。
新しい概念(言葉としては古くから使われているものもあります。)や言葉が使われ始めることには、ここでは省略しますが、メリット・デメリットの双方があります。
このような言葉は、子どもの抱える困り感を理解するときに、役立つと思います。(本当に理解できているのかは、分かりません。しかし、少なくとも言葉を手掛かりに子どもの困り感を想像したり、分かろうすることはできると思います。)

「アタッチメント」という言葉も古くからある言葉ですが、教育現場や研究会等で聞くことはほとんどありません。そこで、今回から「アタッチメント」について考えていきたいと思います。
 今日は、定義のみを書いて終わりたいと思います。
アタッチメントとは、「危機的な状況に際して、あるいは潜在的な危機に備えて、特定の対象との近接を求め、またこれを維持しようとする個体の傾性」であると書かれています。






2014年11月11日火曜日

ケース会議について

これまで、子どもの支援に関する関係機関について述べてきました。
関係機関には、それぞれの権限や機能があります。

ケース会議は、それぞれの権限や機能を生かした運営を行うことが大切です。
そのためには、様々な角度からの情報を集め、整理する必要があります。

ケース会議では、情報の共通理解で終わらせるのではなく、具体的にどのような支援を、誰(機関)が、いつまでに行うのか、はっきりさせます。全機関の進捗状況を把握し、新たな情報を共有することも有効です。当日配付のレジュメ等にそれらを記入する欄を設けると効率的・効果的な会議になります。

2014年11月10日月曜日

市町村の「子ども」に関する機関

市町村には、子育てや児童虐待等に関する相談の窓口として、「子ども課」や「子育て支援課」などの名称の部署が設けられています。以前は、児童相談所が児童虐待の通告先でしたが、現在は市町村も窓口も加わっています。

学校が、子どもに関する支援等で市町村に相談する場合も、まずは、「子ども課」や「子育て支援課」などの名称の部署が担当となることが多いようです。


2014年11月9日日曜日

要保護児童対策地域協議会とは

 厚生労働省のHPでは、「地方公共団体は、要保護児童の適切な保護を図るため、関係機関等により構成され、要保護児童及びその保護者(以下「要保護児童等」という。)に関する情報の交換や支援内容の協議を行う要保護児童対策地域協議会(地域協議会)を置くことができる。」と書かれています。
 さらに「地域協議会を設置した地方公共団体の長は、地域協議会を構成する関係機関等のうちから、地域協議会の運営の中核となり、要保護児童等に対する支援の実施状況の把握や関係機関等との連絡調整を行う要保護児童対策調整機関を指定する。」とあります。
 宮崎県内には、地域協議会を中学校区単位で作り、運営をしている地方公共団体もあります。

2014年11月8日土曜日

民生委員・児童委員とは

 宮崎市社会福祉協議会HPでは、次のように説明されています。
「民生委員は民生委員法により、その設置が定められ、厚生労働大臣からの委嘱を受けて活動しています。また、児童福祉法によって児童委員も兼ねており、民生委員・児童委員と呼ばれています。民生委員・児童委員の中には、児童福祉問題を専門に担当する『主任児童委員』もいます。任期は3年間です。
 民生委員・児童委員は、住民の皆さんの身近なところで、住民の立場に立って相談を受けるほか、地域住民と関係行政機関とを結ぶパイプ役として、地域住民の福祉の向上に努めています。また、民生委員・児童委員は、それぞれの担当区域で、地域の関係機関・団体やボランティアの方たちと協働して、地域福祉のネットワークづくりに努めています。」
 また、同HPには守秘義務について「民生委員・児童委員は、その職務の遂行により知り得た個人の秘密は、固く守らなければならないことが民生委員法に定められています。相談の内容や秘密が他に漏れることはありません。」とあります。

 教員と民生委員・児童委員などの関係機関との間で情報交換を行いますが、連携と秘密の保持については、集団(的)守秘義務という考え方があります。

2014年11月7日金曜日

児童相談所とは

「福祉分野などの関係機関」の一つとして、「児童相談所」があります。

 宮崎県HPには、「児童相談所では、児童(満18歳に満たない者)に関するいろいろな相談に応じている。また、必要な調査、判定を行い、児童福祉施設への入所や児童またはその保護者への相談援助活動などを行っています。」と掲載されています。
 県内には、宮崎市に中央児童相談所、都城市に都城児童相談所、延岡市に延岡児童相談所があります。
 
 

2014年11月5日水曜日

第9回(11月)学習会の案内

11月の学習会の会場が決定しましたので、改めて案内します。

日時 11月15日(土)9:30 〜 11:30
会場 コーヒーHAMASAKI  住所 宮崎市柳丸町153-1 パティオ柳丸C1-7

今回の会場は、オーナーのご厚意で、「コーヒーHAMASAKI」にて
開催させていただきます。

自家焙煎のおいしいコーヒーを飲みながら、お話ししませんか。

場所等の、お店についての詳しい情報は、「コーヒーHAMASAKI」
で検索してください。

2014年11月4日火曜日

SSWとは

これまでの研究会で資料として出された内容の一部を紹介します。

 今回は、「SSW(スクールソーシャルワーカー)」についての説明です。(一部、文部科学省HPからの抜粋です。)
 SSWとは、「スクールソーシャルワーク」を行う専門職のことです。「スクールソーシャルワーク」とは、「問題を抱えた児童生徒が置かれた環境へ働きかけたり、福祉分野などの関係機関等とのネットワークを活用したりするなど、多様な支援方法を用いて、問題解決への対応を図っていくこと」です。

 宮崎県内では、各教育事務所に配置されており、校長先生からの派遣依頼を受けて、各学校に派遣されます。(市町村教育委員会に配置されている場合もあります。)

 次回からは、「福祉分野などの関係機関」について説明します。

 

2014年11月3日月曜日

研究会の紹介

改めて、研究会の紹介をします。
本研究会は、不登校・虐待問題をはじめ、子ども支援や家族支援について相談したり、学んだりする場がほしいと思い、平成24年(2012)11月に立ち上げました。昨年度は開催できませんでしたが、今年度再開しました。6月から月1回のペースで行っています。
 参加者は、県内の教職員(小・中・県立学校)とSSW(スクールソーシャルワーカー)で、毎回6〜7名です。
 会の初めに、近況報告を兼ねて抱えている事例等を出し合い、出された事例について意見交換をします。その後、その日の話題提供者が事例や指導・支援の方法について話します。職種や経験年数、性別の違う人が集まっているので、新たな学びがあります。
 
 私たちが抱えている課題は、一人の教師の力で解決できないものもあります。
 ぜひ、一緒に学び、語り合いましょう。いつでも参加をお待ちしています。その際は、事前にメールで連絡してください。 
 



2014年11月2日日曜日

第9回(11月)学習会の案内

私たちの研究会では、月1回のペースで学習会を行っています。

11月の学習会は、11月15日(土)AM9:30~11:30です。
会場は今のところ決まっていませんので、決まり次第案内します。

 4月の研究会のご案内です。 日時:4月13日(土)16時から18時 場所:アオシマコーヒー 住所:宮崎市青島2丁目6-5 青島BAR 2F 電話:080-5602-2788 皆さん、お気軽にお越しください。