2015年5月23日土曜日

「怒り」との関わり NO.5

前回の続きです。

 子ども達は(大人も同様ですが)、自分の第二次感情の「怒り」は捉えることができても、第一次感情を捉えるができないことがよくあります。「B君は今A君に嫌なことを言われたので怒っているよね。言われたときどんな気持ちだったの?」とB君に質問すると、「ムカついたから」や「頭にきたから」と答えました。「ムカつく」や「頭にくる」というのは第一感情ではないので、さらに質問をします。「言われたとき、うれしかった?悲しかった?それとも何にも思わなかった?」と。このとき、「悲しい」と答える子どももいますが、答えることができずに黙っている子どももいます。後者については、次回述べたいと思います。
 前者の場合は、「悲しい気持ちだったんだね」とB君が捉えている感情を一緒に確認し、次に、B君がA君にどうしてほしいと思っているのかをB君に質問します。仮に、「もう言わないでほしい」とB君が言ったとします。その時は、B君に「そのことをA君に伝えてみようか」と言います。必要ならば、私がA君役になり、伝える練習をします。
 
 

 

2015年5月17日日曜日

「怒り」との関わり NO.4

今回は私がどのように子どもの「怒り」と関わっているかを述べてみたいと思います。

「怒り」は第二次感情であると言われます。第二次があればその前に第1次感情があります。第一次感情とは、「悲しさ」「寂しさ」等であることが多いと思います。例えば、A君がB君に、言葉によるちょっかいを出したとします。それもB君が言われたら嫌がる(気にする)言葉を。B君はやめてほしいと思っていましたが、「やめて」とは言えませんでした。しばらくして、B君が激しく怒った表情でA君に殴り掛かろうと近寄ってきました。このような場面は子どもの生活ではよくあります。
 B君の第二次感情は「激しく怒った表情」から「怒り」であることが容易に分かります。第一次感情は何でしょう。この場合の第一次感情は、「傷つく言葉を言われた」ことによる「悲しみ」であると思います。
 私が子ども同士のトラブルに遭遇し双方の話を聞いてみると、子ども達は自分の感情を捉えていないことが多くあります。

 子どもに話を聞く時は、「今A君を殴ろうとしていたけど、どんな気持ちだったの?先生に教えて。」とB君の気持ちや感情を問います。答えられない場合は「B君はA君を殴ろうとしていたよね。先生にはB君がとても怒っているように見えたけど、何かあったの?」と問います。これらの問いにB君が答えることを通して、B君自身が第二次感情を捉えることができます。

第一次感情については次回書きます。

 
 



ありがとうございました

5月の学習会を、宮崎市教育情報研修センターで行い、初参加者1名を含めて、4名の参加者でした。参加されたみなさん、ありがとうございました。6月もお待ちしています。

6月の学習の日時、場所は決まり次第お知らせします。

2015年4月21日火曜日

5月の学習会の案内

5月の学習会は、次の通りです。
期日:5月16日(土)午前9時30分から11時30分まで
場所:宮崎市教育情報研修センター 1F レクレーション室

お待ちしております。

2015年4月13日月曜日

ありがとうございました

4月の学習会を行いました。初参加の方2名を含めて、9名の参加でした。子どもへの指導や支援での悩みや実践、最近考えていることなど語り合いました。その後、「教育と医療」、「診断」などについて議論しました。
たくさんの参加、ありがとうございました。5月もお待ちしています。

次回は5月16日(土)午前9時30分〜11時30分、場所は未定です。

2015年4月4日土曜日

4月の学習会の案内

皆さん、お元気ですか。
いよいよ新年度が始まりました。
教職員に限らず、いろいろな職種でも同じだと思いますが、前年度の積み残しの仕事や感情や気持ち等(特に、モヤモヤを残したままの、いつまでも消えない)を残したまま新年度が始まります。

こんな時だからこそ、悩みや心配なこと、子どもへの指導や支援についてなど、一緒に話しませんか。もちろん、楽しみなことやがんばりたいことなども・・・

4月の学習会は、次の通りです。
期日:4月11日(土)午前9時30分から11時30分まで
場所:宮崎市教育情報研修センター 1F レクレーション室

お待ちしております。


「怒り」との関わり NO.3

金子書房から「児童心理」という本が毎月出ています。2014年11月号の特集が「子どもの怒り」というテーマでした。二つ目の論文に、大分大学の麻生良太准教授が書かれた「感情はどのように発達するのか」というのがあります。ここで述べられている発達段階と「感情」の発達について紹介します。


基本的感情から社会的感情まで
《おおよそ生後6ヶ月から1年》
基本的な感情(よろこび・驚き・悲しみ・嫌悪・恐れ)が見られる。
基本的な感情の表出は、養育者へのシグナルとしての機能があり、養育者がこのシグナルに適切に応答することが子どもと養育者との愛着といった情緒的な結びつきの形成につながり、幼児期以降の社会的適応へと導かれる。
《1歳半すぎ》
「てれ・羨望・共感」の感情が見られる。
自己意識の発達、特に見られる自分を意識することと関係している。
《2歳から3歳》「誇り・恥・罪」の感情が見られる。できる自分を誇りに思い自信をつける一方、できない自分を恥じて自信をなくすことも起こる。自己の感情についての認識の発達《2歳から3歳》自分の感情状態について自発的にしゃべることができる。他者の感情についての認識の発達《生まれたばかりの乳児》他の乳児につられて泣き出す「情動伝染」という現象《1歳ごろ》他者が表出する感情の意味を認識し、それを手がかりに自分の行動を決定する。《2歳から3歳》「よろこび・悲しみ・怒り」の基本的感情の表情であれば、2歳児の半数以上が適切な感情語をラベリングすることができる。《3歳》外的状況を踏まえて他者がどのような感情を生じるかについて認識することができる。他者が生じる感情と表情または外的状況の間に共通の因果関係が成り立つことを、「まもるべき・推奨するルール」として幼児期の子どもに教えることが求められる。感情についての認識《幼児期後期から児童期》・誰しもが同じ感情を生じるわけではない。なぜなら、その外的状況に対して友達は自分とは異なる好み・意図・欲求・信念をもっているから。・より個人的な情報(恥ずかしがりなどの内的特性やその人の過去の経験など)が、人が生じる感情に関係する。

《感情コンピテンスの発達》
人とのやりとりの中で、自分の感情が他者にどのような影響を与えるか学習する。その経験の積み重ねによって、自分や他者の感情をコントロールする仕方や感情の状態を理解する能力などの知識やスキルを蓄積していく。この知識やスキルを「感情コンピテンス」という。(具体的には、8つのスキルが紹介してあります。)

最後に「感情の発達の問題」として、次のようにまとめてあります。
「自分自身が生じる感情をどのように自覚的に認識するか、自分とは異なる他者が消じる感情をどのように認識するのか、そしてそれらの認識をスキルとして適用してどのように人間関係を築き維持するのか。総合的に考えていくことが感情の発達において重要なのである。

参考文献・引用文献
「児童心理」2014年11月号 金子書房 
 「感情はどのように発達するか」麻生良太(大分大学准教授)






研修ツアーのお申込み

  研修ツアーまであと2週間となりました。参加を希望されている方は、11月23日23時59分までにメールでお申し込みください。 メールアドレス miyakodo24@gmail.com お待ちしております。