今回も、玉井邦夫 著「学校現場で役立つ 子ども虐待対応の手引き」(明石書店)
「第2部 虐待を防止するための方法 第6章 子どもへの対応」に、虐待を受けた子どもへの具体的な関わりについて書かれていますので、紹介します。
「安心感と安全感」をもたせるための手立てとして紹介されている項目を挙げます。
○ 注目をあたえること ○ 感情を汲み取った言語化 ○ 行動化に先回りした言語指示 ○ 肯定形の目標設定 ○ リミットテスティングの理解
それぞれについて、簡単に説明します。
○ 注目をあたえること
子どもが、当たり前のことをことを当たり前にできているときに、そのことをきちんと認める。これには、子どもの行動に注目することで、子どもの行動を望ましい方向に誘導しようという狙いがあります。「問題行動」の多い子どもに対しては、「問題行動」にばかり大人が注目してしまいます。大人が「また何かしでかすのではないか」という姿勢が強まれば、子どもはそうした大人の気持ちを感じ取り、かえって失敗への不安を強めてしまう。また、登下校の場面や休み時間などに何気なく声をかけることで、子どもに「自分が受け入れられているし気にかけてもらえているという感覚をもたせる」ことも大切である。
○ 感情を汲み取った言語化
子どもが示す言語の背後にあると思われる感情について、「汲み取った内容を言語化(「わざと起こらせているみたいに見えるから怒らないよ」等)して伝えることは、子どもが理解してもらえているという感覚を獲得していく上で重要である。
○ 行動化に先回りした言語指示
子どもにこれから起こりうるかもしれない事態に対する予測のための手がかりを与えるために、「今度の時間は体育だけど、この前も途中でイライラしてトラブルになったよね。今日、授業中にイライラしたらどうする?」のような「予測の恐言葉かけ」を続ける。これによって「イライラしたら職員室にくる」といった行動を子どもがとれるようになれば、それは大きな前進です。
また、大人が、「今のあなたはこういう感情状態のように見える」「あなたの言い方を聴いていると、〜の気持ちのように聞こえる」といった言葉を重ねることで、内省への手がかりを提示することができる。
○ 肯定形の目標設定
子どもが学校生活の中でトラブルを起こしたとき、「今度〜になったら〜してみよう」という肯定形の目標を設定する。肯定形の目標設定は、たとえそれが失敗しても、「その方法ではだめだったから次を考える」という「前進感」をもたせることができる。これが成功の可能性を信じてもらえるという思いにつながり、学校生活に対する安心感や安全感に結びつくと考えられる。
○ リミットテスティングの理解
子どもが学校生活のなかで、「どこまでやったら『慣れ親しんだ』虐待的な関係が出てくるのか」と確かめようとする行動傾向のことであり、子どもが教員との間に一定の信頼関係を築き始めたころに示される行動である。具体的には、ひどく挑発的で、叱責されることを求めているかのように感じられる言動である。
対応は、次回紹介します。
2月の研究会は2月10日(土)16時から18時まで、アオシマコーヒーで行います。お待ちしております。
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2015年2月15日日曜日
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