2014年11月20日木曜日

講演会のご案内

不登校の児童生徒への指導を含む、子ども支援や家族支援の方策についての講演会を行います。児童生徒への指導や関わり方で悩んでいる方及び関心のある方、行動療法を取り入れた指導に関心のある方など、みんなで学びたいと思います。
ぜひ、ご参加ください。詳細は以下の通りです。

日時:12月20日(土) AM9:20〜11:30 ※ 9:20開場
会場:宮崎市教育情報研修センター 中研修室
講師:小野昌彦先生(宮崎大学大学院教育学研究科教授)
対象:宮崎県内教職員及びSSW ※ 定員 50名(先着順)
参加費:無料

講師紹介:
長年不登校問題に取り組む。不登校に対する包括的支援アプローチを市町村単位に適用した応用研究や、教師が児童生徒に効果的に働きかけるための教師向けツールを開発。行動療法・応用行動分析が専門。




2014年11月19日水曜日

アタッチメントについて NO.5

前回の続きを紹介します。

⑤ 探索行動の難しさ
 ・見知らぬ状況に置かれたときに、養育者の様子をうかがうなど、自分
 の行動の手がかりを探すような行動がとれない
 ・養育者と離れることが難しいために、自分の置かれた環境の中にある
 おもちゃなどを確かめたり試したりする行動が制限されてしまう

⑥ コントロール行動(支配行動)
 ・養育者を過剰にしきりたがり、懲罰的に(攻撃的威圧的に)コントロ
 ールしようとする
 ・養育者に向けての過剰な気遣いや不適切な世話をする行動がある

⑦ 養育者との分離を経験した後、再会する場面での反応の不自然さ
 ・一度養育者から離れた後で再会したときに、スムースに愛着的なやり
 とりに戻ることができない
 ・再会したときに、無視や避けること、過剰な怒り、愛情の欠如などを
 示す

さらに、次のように書かれています。
  「養育者」という用語を「担任」あるいは「親しい(と思われる友
 人)」などに読み替えると、アタッチメント障がいが学校でどのような
 現れをしてくるのかイメージがもちやすくなると思われる。それは、
 「非常に不安定な対人関係のとり方」であり、「予測のしにくい気分や
 態度の変動」なのである。


参考・引用文献
玉井邦夫 著「学校現場で役立つ 子ども虐待対応の手引き」(明石書店)


2014年11月18日火曜日

アタッチメントについて NO.4

アタッチメント障がいが子どもの言動にどのように現れるか、玉井邦夫氏の「学校現場で役立つ 子ども虐待対応の手引き」(p135〜137)には次のように書かれています。

① 愛情の表現方法のおかしさ
 ・温かく情愛に満ちた相互関係をとることができない
 ・見知らぬ大人との関係でもみさかいなく愛嬌をふりまく
② 心地よさを素直に追求することの困難さ
 ・打ちのめされたり、傷ついたり、病気になったりしたときに、素直に
 心地よさを追求することができない
 ・奇妙で両価的な方法(ひねくれた物言いや、親和性と恐怖が混在する
 ような態度など)で心地よさを追求するようにふるまう
③ 援助への信頼感の歪み
 ・極度な依存を示す
 ・必要なときにサポートのために愛着の対象を求めたり利用したりする
 ことができない
④ 協働活動のおかしさ
 ・養育者の要求に対する素直さが見られない
 ・過剰な要求をしてくる
 ・強迫的な従順を示す

残りの3点は、次回紹介します。

参考・引用文献
玉井邦夫 著「学校現場で役立つ 子ども虐待対応の手引き」(明石書店)

2014年11月17日月曜日

アタッチメント N0.3

今日は、アタッチメント障がいについて書きます。

玉井邦夫氏の「学校現場で役立つ 子ども虐待対応の手引き」(p135)に虐待を受けたことによる子どもの言動を理解するうえで重要な概念として、アタッチメント障がいについておおよそ次のように書かれています。本書では「愛着」・「愛着障害」と表記されていますが、ここでは「アタッチメント」・「アタッチメント障がい」と記します。

アタッチメントは、概ね、生後3〜4年の間にその基盤が形成されると考えられている。健康的なアタッチメントが形成されることは、「自分は価値ある存在であり、世界は交渉にたる環境である」という感覚を子どもに与えることになる。特定の養育者との間に確固たるアタッチメントを形成できた子どもは、長じて、健康的な自尊感情を発達させ、友人との友好的な関係を結び、ものごとを肯定的にとらえていく認知を獲得することができる。

「アタッチメント障がい」とは、この裏返しであると理解できます。

次回は、アタッチメント障がいの現れを概観することにします。

参考・引用文献
玉井邦夫 著「学校現場で役立つ 子ども虐待対応の手引き」(明石書店)







2014年11月14日金曜日

アタッチメントについて NO.2

アタッチメントという概念は、ボウルビィらによって確立されました。
ボウルビィという人は、1907年にイギリスで生まれました。精神科医及び精神分析家で、いろいろな家庭経験が、子どもの発達に及ぼす影響について関心があり、研究を行いました。

アタッチメントの定義は、「危機的な状況に際して、あるいは潜在的な危機に備えて、特定の対象との近接を求め、またこれを維持しようとする個体の傾性」であると前回書きました。言い換えれば「不安や恐怖という負の(不快な)情動が重要な他者に接近することによって中和化されるか、正の(快の)情動へと変化していくこと」であります。「人と人の情緒的絆」や「愛情関係」のことではありません。誤解を生みやすいので、「愛着」ではなく、ここでは「アタッチメント」を用います。

虐待を受けた子どもの言動を理解するうえで重要な概念に「アタッチメント障がい」があります。「愛着障がい」とも言いますが、上記の理由で、ここでは、「アタッチメント障がい」という言葉を使います。

次号は「アタッチメント障がい」について書きたいと思います。

参考文献及び引用文献
 ボウルビイ     「母子関係入門」
 小林隆児 遠藤利彦  編『甘え』とアタッチメント
 玉井邦夫      「学校現場で役立つ 子ども虐待対応の手引き」


2014年11月12日水曜日

アタッチメントについて NO.1

今回から、私の専門外のことも書いてみたいと思います。子どもや家庭の支援を行うときに必要な知識や考え方であると思われるからです。
しかし、私(本ブログの管理者)は専門家ではありませんので、間違ったことを書いている可能性もあります。内容等に関しては、当方、責任は持てませんので、ご了承ください。間違い等がある場合はご指摘ください。

「発達障がい」という言葉は、今や、多くの人に理解され、使われています。
新しい概念(言葉としては古くから使われているものもあります。)や言葉が使われ始めることには、ここでは省略しますが、メリット・デメリットの双方があります。
このような言葉は、子どもの抱える困り感を理解するときに、役立つと思います。(本当に理解できているのかは、分かりません。しかし、少なくとも言葉を手掛かりに子どもの困り感を想像したり、分かろうすることはできると思います。)

「アタッチメント」という言葉も古くからある言葉ですが、教育現場や研究会等で聞くことはほとんどありません。そこで、今回から「アタッチメント」について考えていきたいと思います。
 今日は、定義のみを書いて終わりたいと思います。
アタッチメントとは、「危機的な状況に際して、あるいは潜在的な危機に備えて、特定の対象との近接を求め、またこれを維持しようとする個体の傾性」であると書かれています。






2014年11月11日火曜日

ケース会議について

これまで、子どもの支援に関する関係機関について述べてきました。
関係機関には、それぞれの権限や機能があります。

ケース会議は、それぞれの権限や機能を生かした運営を行うことが大切です。
そのためには、様々な角度からの情報を集め、整理する必要があります。

ケース会議では、情報の共通理解で終わらせるのではなく、具体的にどのような支援を、誰(機関)が、いつまでに行うのか、はっきりさせます。全機関の進捗状況を把握し、新たな情報を共有することも有効です。当日配付のレジュメ等にそれらを記入する欄を設けると効率的・効果的な会議になります。

 4月の研究会のご案内です。 日時:4月13日(土)16時から18時 場所:アオシマコーヒー 住所:宮崎市青島2丁目6-5 青島BAR 2F 電話:080-5602-2788 皆さん、お気軽にお越しください。